●議事録 日時:2003年7月21日(am11:00-pm14:30) 場所:ナショナルトレーニングセンター(旧ユニチカ/大阪府東貝塚市) 参加者:協会から7人(理事含む)、有志から5人、記者1人 |
内容: 1.協会の現状についての説明(理事) 2.有志提案書内容について 2.ー1 協会・バレー全体について 2.ー2 コミュニケーションについて 2.ー3 Vリーグについて 2.ー4 全日本について 2.ー5 ファンサービスについて 3.感想 |
1.協会の現状についての説明(理事) :以下の協会内部資料を配付、説明 |
資料1:バレー協会21世紀戦略・活動課題 (1.強化、2.国際大会、3.国内バレー人口の拡充・地域密着、 4.Vリーグ、5.運営) 資料2:組織図 (公式HPにある図より新しいもの) 資料3:協会の財政の現状 (国際大会の有無と関連つけた収支の表) 資料4:平成14年度収支内訳表 (Vリーグ参加費:1チーム300万円×18チーム、これは全体の3.6%、 役員協力金:1人10万+チーム登録料1万、これで全体の14.6%、 "国庫補助金4.7%、TV放映権料1%等) 資料5:他競技のチームおよび個人登録料一覧 (バレー:全体の9.3%は少ない方。 バスケ・柔道等は、個人でも徴収しているため、 協会収入の半分近くをしめている) |
2.有志提案書内容について (○黒字…理事の意見、→青字…有志の質問・意見・感想) |
2.ー1 協会・バレー全体について ○ 理事への悪いイメージを払拭したい。理事は給料を貰っている等、 偏ったイメージを持たれているが、 まったくの無給であり、むしろ年間10万円:役員協力金を協会に納めている。 ○ スポーツとは自分たちでやるのがスジ、他人に頼るだけでなく、 チーム登録料を上げ、個人で登録料を設定し、 大会を運営していくことが理想。 もちろん、大口スポンサー獲得のため鋭意努力している。 ○ ライオンやコカコーラが(小・中学生の)大会スポンサーをおりている。 このままいっても毎年、年間2〜3億の赤字が出る。 理想を言えば、協会として最低2億の収益をあげるたけに、 各チームが1千万だしてくれたらいい。 それで、リーグで収益が上がれば還元する。今までもその方針だが、 現状は、還元しないで、他の運営資金にあてざるをえない。 ○ 末端チーム(市町村)のモチベーションをあげる仕組みを考えている。 例えば、大会を設ければ、それを目標にして頑張った結果、 国内バレーが底辺から盛り上がる ○ アイデアの1つとして、全日本個人選手を協会所属にして、バックアップしたい。 個人スポンサーをつけたい。 |
2.ー2 コミュニケーションについて ○ 男子(の弱体化)は大学がネック。高校は管理が厳しいけど、大学は雇われ監督。 目が届かないから、変に自由を満喫して、企業に就職する。 こちらが選手の自由に(移籍など)させたくても企業の思惑が関与してくる。 協会が考えを押しつけたことは一切無い。 ○ 選手の意見でスケジュールはくめないけれど、ないがしろにするつもりはない。 部長会をひらいているが、選手が監督・部長に言った意見がかならずしも、 こちらへ正確につたわっているか疑問。 →廃部は事前に判らないのか? ○ 噂は、聞きます。でも直前になるまでわからない。 企業スポーツは、福利厚生や社員の志気を高めるものであったけれど、今は違う。 社員と一体感は無い。負けだしたら、重役会で切られる。 協会は関与できない、無視される。 →企業に、バレー部を擁するメリットがあればいいのではないか? ○ 全日本が強くなれば、Vリーグが盛り上がり、魅力がうまれるだろう。 ○ 地方協会も差がある。熱意の差。 現在、下部組織にこういった資料を渡し、意見を求めている。 こちらも、やっていてなかなか周りが見えない。率直な意見が聞きたい。 地方協会の実績・成果を評価し、 それによって指導・人事異動させる案もある。 各長を集め、マネジメント勉強会を過去開いたが、 成果が上がっていないため、再度行う予定。 →マネジメント勉強会の内容がわからないので何とも言えないが、 それが通り一遍の講義ならば成果は疑問。 理論のみでなく協会からある程度のモデルを提示してはどうか。 ホーム&アウェイ制でも言えるが、全都道府県の足並みを揃えるより、 "熱意"のある地方協会・チームの手法が成功すれば、 自然と他が追従するのでは? |
2.ー3 Vリーグについて ○ 現在4つある国内大会(黒鷲・サマー・Vカップ・Vリーグ)をゼロにして、 一からやりなおしたい → 黒鷲旗はVリーグだけが参加する大会ではない。 代表選手を抜いての参戦は厳しいだろうが、その方向で各チームと交渉してほしい。 また、最終予選が開催される来年度のオールスターは中止が決定しているそうだが、 日程・企画さえもっと考慮すれば集客が見込めるイベントを省くことは、 収益と国内リーグの活性化に関し、マイナスに思う。 ○ 人気(観客動員数)に関して、W杯・世界選手権開催年の収益が上がる傾向を差して、 今年はW杯があるから、大幅な増員が見込めるだろう。 全日本が強ければ、国際大会で注目を集め、ひいてはVリーグが盛り上がる。 → 近年、その方法では国際大会の無い年に動員数が落ちている、 国際大会があるにもかかわらず年々緩やかに減少している、 またグラチャン開催年度にその傾向は該当しない点を指摘したところ、 「以前の協会は古い体制、昔のやり方だからそうなった」、 「これから全日本が強くなれば、減少しない」と回答があった。 体制が変わったことを再三主張されるが、 国際大会=Vリーグへの安易な繋げ方は、以前と同じに思える。 (全日本が強化されるとして、何年後の実現になるか疑問) ○ ホーム&アウェイについて、「経済力のあるチームもある。足並みがそろわない。」。 → 企業に対しては、具体的な数字・企画を提示しなければ話にならない。 この時期になって、見通しが楽観的、曖昧すぎるように思う。 → 地方の場合、交通の便とか考えて、会場を設定するといったことは? ○ 会場の立地が悪い原因は、 スケジュールをたてるのが遅いため、会場がおさえられない。 2年先まで予約を入れておくよう、地方協会に指導してるが、なかなか動かない。 ○ チケット代については、しょうがない、というのが実情。 儲けようとして高い値段をつけているわけじゃない。 こうしないと、やっていけない。 → グッズ等、副収入を考えているか? ○ 「着手しているからもう少し待って欲しい」の回答。 → PRが不十分な点について ○ 十分、承知している。改善しなければならない。 アイデアの段階だが、新聞の折り込み広告による宣伝を考えている。 |
2.ー4 全日本について ○ 全日本が何故勝てないか。素材が少ないというより、指導に一貫性がない。 学校や企業が指導したものを協会がもらうカタチ。 こちらとしてもわかっているが、指導力が低下している点を補おうと、 外国でメダルをとった監督を招こうとした。しかし、そのレベルになると1億かかる。 とても出せない。また、これも大きなネックだが、"日本人のメンツ"がある。 何度も言ったが、なかなか、日本人指導者達が首を縦に振らない。 高校・大学の指導者や企業は、Vリーグを意識した指導や、全日本を優先してくれない ○ スケジュールの問題もある。海外の代表とくらべると全日本の合宿日数は少ない。 1つに、5月の黒鷲旗が障害で、3月でリーグが終わればすぐにでも合宿に入り、 強化にあたりたいのに、黒鷲で一旦、選手をチームに返さないと行けない。 黒鷲旗を主催する毎日新聞にかけあったけど、うまくいかなかった。 我々としては、黒鷲を無くして、5月に国際大会をすれば収益あがる。 ○ 一貫教育システムを確立したい (中国のように、早い段階で人材を発掘し、一カ所に集め、全日本・Vリーグへ登用を前提にした 小中高一環指導をナショナルトレーニングセンターで行う) ○ 指導者の再教育をしたい → そのシステムが効果をあげるまでに、Vリーグ等、 興業としてのバレーボールが維持できるか疑問。 → 全日本選手に怪我が多い理由は? ○ ミュンヘンのときや、そのあと、川合選手がいた時代は 専門的なトレーナーやドクターはいなかったが、 個人メニューを組み、怪我もなかったし、強化された。 今何故、あんなに怪我をするのか、正直わからない。 もしかしたら、全日本が弱いことにも繋がるが、選手に全日本の自覚が足りないから? 自己管理が出来ていないためじゃないか。 → 女子は北京五輪まで人材が揃っており展望があるが、 男子はまったく希望がないわけじゃないが厳しい、と 何度も繰り返された。現況をみれば無理もない。 また、「身長が低くても構わない、良いプレーは出来る」と考えている理事もいるが、 現在、全日本男子を覆う「大型化」と相反する。 その辺りの調整は出来ていないのではないか。 |
2.ー5 ファンサービスについて ※これに関しては、協会から質問。 ○ FCに魅力がないというのは、具体的に? → 優先販売。Vクラブより、一般チケットの方が座席が良い場合がある。 また、試合の合間にあるイベント、取材を見られるとか、そういったサービスは微妙。 ならシンプルに握手会でいいが、こちらが臨むファンサービスは、『良質な試合』。 ○ VクラブのHPにアクセスする人を調べたら、20〜30代の女性が多かった。 これがバレーファンのコアな層。その層が求めるイベントをすればいいのではと考えてる。 どういったサービスなら満足するのか?有料で(HP上の)情報公開に魅力はあるか? → (有料の情報公開に)率直にいって、魅力はない。 この程度の資料なら、無料で公開が適当。 たしかに女性ファンが圧倒的だが、そこに特化すると排他的になる危険がある。 選手の人気を利用した会員限定サービスや、 たとえば第2回Vカップに実施された、 試合と時間並行するファンイベントは、大会本来の主旨から離れている。 ファンが減少した状態で、今あるファンを保持しつつ、 バレーボール本来の魅力をアピールし、 去っていったファン、新たなファン(特に男性)を獲得するアイデアを希望する。 また、ウェブ環境に無いファンも多い。 ファンの努力を前提とした情報提供ではなく、積極的に。 今、有志が耳にする事柄をバレー雑誌などで公開して欲しい。 ○ ポルト最終予選で負けてしまったが、現地までいったファンのため、 せっかくだから、選手と記念写真会を設けた。 日本のファンは(熱意があるから)どこでもいってくれる。 → 「ファン」および「ファンサービス」を曲解している。 ファンはあくまで、「バレーボール」をする「その時代の選手」を 応援・観戦(遠征含め)する存在。 本当のファンサービスとは、「バレーボール」に 「最高(もしくは匹敵する)の環境」を提供すること。 それを前提に、サービスの一環として写真撮影・握手会が行われるぶんにはいいが、 最終予選敗退直後の写真撮影のように、 TPOをわきまえない衝動的な企画が目立つ。 |
3.感想 |
提出した書類はVリーグをメインとしたため、今回の話し合いはテーマが大きすぎた。 理事というポストの高さと私たちファンの格差、世代の差が、考え方の違いとなって顕著に現れ、 会話全体にズレを生じさせていた。 こちらの質問に対して、答えになっていない答え(夢・展望)や、 「もうすこし待って欲しい」、「努力している」回答が多く、 話し合いをするには時期が早かった様に思う。 記者の方がいう通り、「3月までの体制なら有志の話に耳を貸さなかった、 今、協会は20倍の速さで変わっている」としても、 これではバレーボールの衰退が少し速度をゆるめたに過ぎないのではないか。 繰り返し、それでは間に合わないとファン側の焦燥・危機感を訴えたが、通じなかった。 再三主張された「一貫指導システム」についても、実現したとして、そこで培った人材が Vリーグおよび国際舞台で活躍するまでの、資金捻出を含めたリーグの維持を 現役選手(と彼らを応援するファン)で賄うというのは、虫が良すぎるし、あまりに楽観的。 全日本だけが日本のバレーではない。 底上げを狙うなら、国内リーグの環境をまず整備してほしい。 また、「全日本の自覚がない」理由は、アンケート回答にある通り、指導者の力不足、 全日本であることの利点、勝ちたいと思わせる「目標」が無いことが挙げられる。 日本のアマチュアスポーツ全てにいえることだが、 代表選手が「メダルを獲得」するために周囲が与えるものはプレッシャーが主であり、 獲得すれば国が称賛を浴び、個人には見合った見返りがない。(使い捨てが目立つ) これでは、とくに団体競技のバレーボールは、ヤル気を起こしにくいだろう。 しかし、考え・手法はズレているにせよ、協会が変わろうとしている"熱意"は感じ取れた。 先日のスポーツ速報で、Vリーグ決勝方式が総当たりに固定されるとあったように、 些細だが変化はみてとれた。 傾いたバレーボールを復興させるためには、ファン・選手・チーム・協会すべての力が必要に思う。 アンケートに答えてくれた選手・ファン達だけでなく、 多くの選手・ファンが自らの置かれた状況を見つめ、 何が彼らの「仕事(役目)」であったか、考え直してもらえたらと思う。 私たちの活動は、理事の言葉を借りれば 「バレー始まって以来、初めてのこと」になる話し合いに結びついた。 「例外」が「普通」になれば、日本のスポーツは発展していくと思う。 バレーボールがその先駆者になればと願う。 |